総明会会長 向殿 政男

伝統とは、精神を引き継ぎ、時代と共にあることです
――第39回総明会総会によせて――

 総明会としての最も大事な事業である総会・懇親会の開催、及び会誌の発行等を受け持つホスト学年は、今年は、昭和51年卒の明々会にバトンタッチされました。ホスト学年制という伝統は、続きに続いて既に 30年前後になると思います。
 新制の同窓会が再発足して今回で39回、明治中学・高校が創立されて90年有余が過ぎました。伝統は引き継がれています。

 当初、明治中学が建っていた場所は猿楽町ではなく、現在の明治大学リバティタワーの建っている所であったということを知っている人はほとんど居なくなりました。ただし、伝統とは、形や歴史の話しでは有りません。精神・理念の方が大事です。明治中学・高校の学風は何処にあるのでしょうか。独立 自治、権利自由、質実剛健は、明治大学と同じです。最近、明治大学は「個を強くする」と銘打っています。実は、これこそ我々の母校の最も大事な伝統ではないでしょうか。何処にあっても、自分をしっかりと持ち、与えられた役割、仕事は着実に果たす実力と責任を持ち、その上で自由な心をもち、どんな状態になってもへこたれない、これが我が母校の伝統ある校風だと思います。この伝統の精神を受け継ぎ、発展・充実させるためには、我々は時代と共になければなりません。精神を守り、時代に対応して変化すべきところは変化させないと伝統は引き継がれません。

 今回の総明会の総会、懇親会は、久しぶりに東京下町の浅草で開催されます。明治高校・中学の特徴は、戦後長い間、東京の下町の雰囲気が最も横溢した学校でした。事実、東京下町の中小企業の子弟が大変多い学校でした。かく云う私も東京深川の材木問屋の息子でした。今は無き都電 15番線に乗り、深川不動から茅場町を経て駿河台下に通うのですが、途中で実に多くの仲間と一緒になって通学をしたものです。同様に都電で須田町経由で通学する者、また国電の総武線で通学する仲間等々、東京下町や千葉方面からの同窓が大変多い学校でした。当時を振り返り、是非、 2003年11月15日(土)、浅草ビューホテルで開催される今年の総明会の総会、懇親会には、皆様でお誘いあって、一人でも多くの仲間が参加されるようお願い申し上げます。

 最後に、今年の総会、懇親会を盛大に企画、実行され、かつ、会誌に関してもCD化という画期的なことを継続すると共に、従来の新聞の良さの両方を生かすように製作に努力をされた、今回のホスト学年である昭和 51年卒の明々会の皆々様に深く感謝申し上げます。

 なお、本当の最後になりますが、私が前会長の坂本朝一現名誉会長の後を引き継ぎ、この会誌に挨拶を書かせて頂くようになって今回で11回目になります。振り返ってみますと、あっという間の 11年間でしたが、そろそろ会長職を若手にお任せすべき時期だと思います。 これは上に記したように、同窓会の伝統を守りこれを引き継ぎ発展させるという点から当然と考えます。